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大山口駅から坊領へ |
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坊領→大山> |
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大山道のうち、北の山陰道とつながるのが坊領道です。米子市の淀江、大山町の福尾や御来屋からの道筋が大山町の坊領地区で一筋の道となって大山に向かう道で、当サイトでは大山口駅をスタート地点にしてご紹介いたします。特に険しい区間もなく、寄道含めて約15kmという距離も1日のウォーキングにちょうど良く、本数は多くないとは言えバス路線が並行しているという点で、歩くのに適した道とも言えます。 |
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大山口駅は山陰本線における大山の最寄り駅で、先述のように大山寺へのバス路線も接続しており、令和2年(2020)に建て替えられた新しい駅舎には大山の模様が描かれています。駅を出ると大山に直行する県道158号が正面に伸びていますが、まずは坊領道に入るべく左(北東)に進んでいきます。 |
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6101.大山口駅 |
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県道171号をくぐった先の写真6102の交差点では斜め右、続く写真6103の五差路は写真正面の上り坂に入り、上野地区の集落の南端をかすめるように進んでいきます。この周辺では圃場整備も進んで直線的な道路が整備されていますが、集落内では昔のままと思われる細い道が複雑に絡み合っているところが多いです。 |
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6102.ここは斜め右 |
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6103.ここは正面の坂道へ |
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坂を上ると広々とした田園地帯に入り、南には大山がよく見えるようになります。写真6105の写真の交差点を右折し、大きくカーブして進路を東に戻すと、延命地蔵堂に迎えられ、まもなく所子地区の集落に入っていきますが、さすがに重要伝統的建造物群保存地区に指定されているだけあって、集落に入る頃には雰囲気が少し違うように感じられます。 |
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6104.大山がよく見える |
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6105.ここを右折 |
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6106.延命地蔵堂 |
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6107.雰囲気が変わる |
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●所子地区(シモ)
所子の集落に北から入ったあたりは、一農村集落でありながら重要伝統的建造物群保存地区に指定されたのも大いに納得できるような古い建造物群が集中しており、中でも大庄屋の門脇家住宅は明和6年(1769)というかなり古い年代に建てられた茅葺屋根の家屋がそのまま残っており、国の重要文化財に指定されています。一般公開は年に数日のみですが、大庄屋の家だけあって中の庭園や茶室等も見事なものだそうです。その向かいの東門脇家住宅も登録有形文化財で、母屋だけでなく立派な門や塀を持つ住宅が並ぶ様子はまさにここでしか見られないものだと言えます。 |
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6108.所子地区(シモ)の大山道 |
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6109.門脇家住宅 |
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6110.東門脇家住宅 |
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>拡大画像 門脇家住宅の案内板 |
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坊領道の道筋を辿るには門脇家住宅の南の交差点を左折しますが、直進してもう少し南に進むと南門脇家住宅やあり、その向かいには駒繋ぎ石が保存されています。 |
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6111.南門脇家住宅 |
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6112.駒繋ぎ石 |
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門脇家住宅の南を左折すると、まもなく家並みがいったん途切れます。ここは「神さんの通り道」として、所子地区の南端に位置する賀茂神社の正面(北)をあえて空けてある空間です。この神様用の道により、「シモ」「カミ」に明確に分かれた集落の形が今も残されていることも所子地区の大きな価値の一つです。 |
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6113.いったん家並みが途切れる |
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6114.神さんの通り道 |
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●所子地区(カミ)
「神さんの通り道」と交差すれば「カミ」の集落に入ります。大庄屋の門脇家とその分家がある「シモ」に比べ、特記するほどの古い家屋は登録有形文化財の美甘家住宅くらいですが、こちらの特徴は大山山麓の昔の暮らしぶりがよく感じられる建造物等が残されている点で、煙草の乾燥場や水車小屋(今は水車はない)、小さな石造物等が点在しています。所子地区は農村集落として重要伝統的建造物群保存地区に指定されている全国的にも数少ない例であり、宿場町や城下町、商家町の古い街並みとは一味違った魅力があります。また、「カミ」の道は南南東を向いており、正面に大山が見える景観もすばらしいものがあります。 |
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6115.辻に薬師、遠くに大山 |
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6116.煙草乾燥場 |
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6117.美甘家住宅 |
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大山道の道筋は山陰自動車道にぶつかって途切れてしまうので、その手前を右折し、所子地区の南端近くの道を県道158号の方へ進みます。道沿いには文化11年(1814)の廻国供養塔や古い家屋の立派な屋敷林も見られます。最後に見るのが賀茂神社で、先述した「神さんの通り道」を確認しながら所子地区を振り返ることができます。写真6121の交差点では直進が大山口駅、右折が所子地区の駐車場、左折が県道158号となり、ここから県道に入ります。 |
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6118.山陰自動車道の手前で右折 |
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6119.廻国供養塔 |
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6120.賀茂神社 |
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6121.続きは左、駅は直進、駐車場は右 |
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>拡大画像 所子地区の案内板 |
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所子地区を出てしばらくの間、圃場整備や山陰自動車道の建設によって大山道の道筋は消失しているので、県道158号で南下します。県道はよく整備されていて歩道もあるので、歩きにくさはありません。 |
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6122.大山インター付近 |
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6123.県道を南下 |
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大山インターから700mほど、左に平木地区、右に中高地区が案内される場所では右の中高を選択し、集落内の道に入って県道の一本西の道で南下を続けることにします。集落内の道沿いには五輪塔が並んでいるところもあります。 |
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6124.右の中高地区へ |
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6125.中高の集落内 |
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6126.五輪塔が並ぶ |
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写真6127の地点で直進する道の幅は狭くなりますが、構わず直進していくと集落の最後に六地蔵や供養塔が並んでいます。向きは県道の方ではなく、この細道の方なので、やはりここが古い道筋と思われます。中高の集落を出ると、大山広域農道と交差し、引き続き県道158号の少し南西側を江東川という細い川に沿って進んでいきます。圃場も整備され、古道の雰囲気ではありませんが、遠くに大山を見ながら田園地帯の中を行く坊領道の前半らしい道です。 |
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6127.直進の道は狭くなる |
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6128.細道沿いに六地蔵 |
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6129.大山を望む田園地帯 |
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次の平地区に入ったところに古いものも多く含む墓石群があります。中には大山山麓で万人講と呼ばれる牛馬の供養塔もあり、ここにあるものが最も古いものだそうです。また、この付近では標高約100mまで上ってきており、振り返れば緩く傾斜した平地の向こうに日本海や美保関もよく見えます。 |
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6130.万人講 |
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6131.時々後ろを振り返ろう |
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南西にある平の集落は淀江からの大山道が通り、道標等も残されているそうですが、立ち寄っていては遠回りとなるのでいったん県道158号に戻ると、まもなく御来屋からの大山道に合流します。このように日本海岸の各町から来る大山道が徐々に近づいてくるのがこの付近で、この先の坊領で一本の道に合流して大山を目指すことが北からの大山道が「坊領道」と呼ばれている理由です。県道を500mほど行けば仁王堂公園に至りますが、古道歩きをしているのなら、メインの東の入口からではなく、古道の跡を活用していると思われる西の裏口から入りましょう。 |
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6132.いったん県道へ |
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6133.仁王堂公園に入る古道? |
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●仁王堂公園
仁王堂公園は古墳の跡がある低い丘の上に設けられた公園で、大山や日本海が遠望できる立地も良く、遊具やトイレなどの設備も充実しています。そして何と言ってもシンボルは大山カラス天狗の像で、案内板にも記されたその伝説は大山の超自然的なエネルギーを象徴しています。古道歩きの観点から見れば、西の裏口の坂道を上ったところにある安永6年(1777)の廻国供養塔が見どころで、「左 淀江 右 所子」と記され、道標も兼ねたものとなっています。先述したように、坊領道が各方面に分岐しているのがこの付近であることがよくわかります。また、江戸時代にはこの付近が鳥取藩領と大山寺領の境でもあったそうです。 |
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6134.道標を兼ねた廻国供養塔 |
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6135.カラス天狗の像がシンボル |
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>拡大画像 大山カラス天狗の像の案内板 |
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仁王堂公園を出ると県道158号には戻らず、再び県道の一本西の道を進みます。坊領の集落に入るまでは圃場整備の際に一直線に改められたと思われる道ですが、稲荷神社のところのカーブからは古道らしい雰囲気も出てきて、沿道には立派な古民家も見られるようになります。 |
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6136.この道を選択 |
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6137.稲荷神社 |
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6138.立派な古民家もあり |
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6139.細道沿いの雰囲気も良い |
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坊領地区内では県道158号は集落の東側をバイパスし、その旧道にも良い雰囲気がありますが、古道の道筋はやはりその一本西です。 |
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6140.現在の集落の裏に古道 |
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6141.ここで左折 |
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●坊領
坊領地区内の県道の旧道沿いは緩やかな坂道となっていて、沿道には古い家屋が建ち並んでいます。地名が示すようにここは大山寺領であり、大山の玄関口として独自の発展を遂げてきた歴史があります。現在では静かな田舎の集落ですが、水路が音を立てて流れ、家並みの間からは大山も良く見えます。集落の南端にはイチョウの木が印象的な妙玄寺もあります。 |
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6142.坊領の街並み |
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6143.妙玄寺 |
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坊領地区の集落を過ぎれば佐間神社があり、その先の交差点では古道に近い道筋を辿るため、あえて少し戻る形の右折を選びます。まもなく新道記念碑があることで想像できるように、この付近では道路の形状が変わってしまっているのでしょうが、佐間神社のわずかに北西にある写真6146の交差点付近が各方面からの大山道が一本に集約される地点であったと思われます。ここからまた南下を続けますが、この付近から見る大山は北壁の険しい姿と西の穏やかな姿の両方が同時に見られます。 |
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6144.佐間神社 |
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6145.新道記念碑 |
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6146.この付近で淀江からの道に合流 |
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6147.大山も大きく見えてきました |
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坊領→大山> |
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- ●地名、人名等の読み方
- 坊領=ぼうりょう
- 御来屋=みくりや
- 美甘=みかも
- 平木=ひらぎ
- 中高=なかだか
- 江東川=こうとうがわ
- 平=ひら
- 万人講=ばんにんこう
- 妙玄寺=みょうげんじ
- ●関連ページ
- ●参考資料
- ●取材日
- 2018.4.12/5.21/5.22
- 2023.6.17
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