美作市の旧美作町域では出雲街道の道筋と中国自動車道が北寄りのルートを通っているのに対し、国道179号は林野の市街を経由するためだと考えられますが、南寄りのルートになっていて、その間には標高200〜300mほどの山々があります。
その山々に平成30年(2018年)整備されたのが「美しい里山公園」です。美作市の中心部と言える林野市街や湯郷温泉街にも近く、高さや険しさもさほどではないこの山々はまさに「里山」と呼ぶのがふさわしく、麓の各地区から気軽に散策できるような遊歩道が整備されています。森林浴や動植物の観察が楽しめるだけでなく、眺望が開ける場所も何カ所かあるため、周囲の地形や土地利用の様子もよく見ることができます。
そして、現在の美作市域の要と言えるような場所の山々だけに山上に歴史的な名所が存在しているのも見逃せません。北の楢原地区から南に登っていったところには塩野尾宮があり、ここには「しょおのおさんのお水」という枯れない泉があり、水の神様として親しまれてきた神社です。南の朽木地区から登っていったところにも藤乃森稲荷神社があり、山中に突然現れる赤い鳥居が印象的です。そして、公園の遊歩道はつながっていませんが、南西端の城山は中世山城の林野城跡です。
大きな案内看板等も少なく、トイレや休憩所も設置されていないため、「公園」というには整備が中途半端な印象ですが、それでも比較的手近な場所で地域の自然や歴史に触れることができる新名所です。 |