トップページ > その他コンテンツ > 連載 道標紹介 > 19.真庭市上河内の追分道標
19.真庭市上河内の追分道標
前々回、たつの市の追分の道標をご紹介しました。同じ追分という地名で、同じく古道の重要交差点に立つ道標が真庭市にもあります。

津山市から真庭市に入ってすぐの国道沿いにあるこの道標は、出雲街道と大山道、そして旧落合町域や旧北房町域を経て高梁(松山)に至る備中往来の分岐点となっています。元禄の道標と文久の道標が並ぶ姿は出雲街道の道標の中でも代表的なものの一つと言えます。

元禄の道標は現存する石の道標ではかなり古い部類に入るもので、津山方面(東)から来て『是より左備中みづた道』と刻まれています。「みづた」とは備中方面への道沿い、旧北房町の東部にある集落の名前です。以前にご紹介した美咲町打穴中の元禄道標と同様に、美作国にある元禄道標は案内のノウハウが十分でなかったのか、やや不親切に感じる内容です。

一方、文久の道標は大きさも出雲街道に残されている道標の中では最大級で、六角柱の形も印象的です。文字も楷書で深く掘られていて、道標作りの技術のレベルアップを感じます。
内容は北から時計回りに『伯州大仙江拾七里』『出雲大社江三十七里』『能勢妙見江四十五里』『讃州金毘羅江三十三里』『木山宮江三里』『伊勢大神宮江八十五里』と有名寺社が目白押しで、距離も表示されています。
昔の旅は信仰の旅であったと感じさせられるのはもちろんですが、この6つのチョイスも興味深いところです。例えば、同じ岡山県内で有名な吉備津神社や最上稲荷、出雲街道にも近い書写山円教寺よりも当時はこの6社寺が当時の旅人には重要だったということなのでしょう。なお、木山宮だけは少し地味ですが、近隣地域の寺社としては代表的なところです。

元禄2年(1689年)と文久3年(1863年)の道標です。

googleマップで見る
令和3年(2021年)2月6日 Facebookページに掲載
<< 18.たつの市神岡町西鳥井の道標
▲ページトップ
inserted by FC2 system