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17.勝山から神代へ
勝山は姫路から出雲までのほぼ中間点にあたりますが、「起承転結」に例えるならば、ここからはまさに「転」の展開です。姫路から長く付き合ってきた姫新線ともついにお別れで、公共交通機関と言えば真庭市コミュニティバス「まにわくん」(新庄・久世ルート)が1日4往復のみです。コンビニは中国勝山駅近くの店が岡山県内最後の店となり、鳥取県に入って根雨まで40km近くの間には全く存在しません。零細な地元の商店や飲み物の自動販売機ですら、数kmに一つもないような状況になりますので、勝山市街でそれなりの準備を整えてから歩くようにしましょう。
なお、ここから神代地区までの間、国道は屈曲する新庄川の流れに沿って、西南方向に迂回しているのに対し、その区間をショートカットする県道321号があり、そちらが出雲街道のルートとなっています。2501と2502の写真は旧街道に沿って歩いていれば通らない場所ですが、この2点は押さえておいた方が良いので掲載しておきます。

2501.岡山県内最後のコンビニ
 
2502.案内標識には従いません
勝山の町並み保存地区内の山本町には、元禄、嘉永、そして平成と約150年ごとに立てられた三世代の道標があります。旧街道の道筋としては、そこから神橋で旭川を渡り、次いで国道313号を横断します。国道313号は犬挟峠を越えて、倉吉を目指す道路で、沿線には露天風呂「西の横綱」の湯原温泉、「西の軽井沢」と呼ばれB級ご当地グルメのひるぜん焼そばでも知られる蒜山高原、鳥取県に入れば関金温泉があり、観光地の多さから「ロマンチック街道313」として売り出されているルートです。

2503.三世代の道標
 
2504.国道313号を横断
国道313号を横断すると西町に入り、緩やかな坂道を上っていきます。道沿いには石段が印象的な鈴神社などがあり、美保神社のある2507の写真の地点で県道321号に合流します。また、この近辺では平成25年(2013年)以降に下水道工事が行われましたが、工事が終わった場所では「出雲街道勝山宿の会」の要望により、「出雲街道」の銘が入ったマンホールの蓋が設置されています。

2505.西町
 
2506.鈴神社

2507.美保神社の先で県道321号へ
 
2508.「出雲街道」のマンホール蓋
しばらく行けば県道321号は4t車以上通行不能の狭い道になり、こういった事実からも勝山を境に雰囲気が変わってきたことが理解させられます。本郷川の谷を緩やかに上っていき、次の布組集落はずいぶん田舎に来たと感じるような雰囲気ですが、集会所の裏にある小社群には比較的新しい屋根も架けられており、現在も大切に守られているのがわかります。布組集落を出て300mほどで次は名草集落に入ります。

2509.大型車通行不能の険道でも…
 
2510.れっきとした出雲街道の道筋

2511.布組集会所の裏の小社群
 
2512.名草集落へ
●名草〜寺河内の旧街道
名草の集落内にはまた「平成の道標」があり、左折が案内されています。左側にあるのは民家1軒だけで、正直、間違いではないかと疑ってしまいますが、そちらに入ってみると、谷の南側に続く道には軽トラックが日常的に通行しているとわかる轍もあり、1kmほどでちゃんと次の寺河内集落の近くに抜けていけます。「平成の道標」がなければまず入ることはないでしょうが、旧街道の風情を楽しめる上、時に森の中に入り、時に谷の景色が開ける眺めも気持ちの良い道です。

2513.左…って民家1軒だけですが?

2514.谷の南側に道は続く
 
2515.途中にある念仏供養塔
本来の旧街道は谷の南側をずっと辿っていたと思われますが、最後に大きくカーブして谷の北側に移り、鋭角に曲がって県道321号に戻ります。ここからは道路の幅員といい、カーブの具合といい、確かに大型車には厳しそうに感じられる県道で杉ヶ乢という峠を目指します。

2516.県道に戻る
 
2517.杉ヶ乢へ上る県道
杉ヶ乢の標高は330mを超えており、これからもっと標高の高い場所に行くとは言え、姫路からここまでのどの峠よりも標高が高くなっています。普通の家屋や田畑があったとは思えないような場所ですが、峠を越えたすぐ先には石垣が残されています。旧街道時代には茶屋があったそうなので、その跡かもしれません。

2518.杉ヶ乢
 
2519.石垣が残る
杉ヶ乢の峠道の西側は短く、ほんの200mほどだけ下ると平成の道標があり、また旧街道に入っていきます。途中には念仏供養塔もあり、眼下に見える神代地区の眺めも良い道ですが、歩行困難なほど草に埋もれてしまっていることもあり、ここを歩けるかどうかはタイミング次第です。通れなかった場合は県道321号で国道に出た後、南に少し戻る形で神代バス停まで迂回してください。

2520.斜め左へ
 
2521.神代地区へ下る

2522.念仏供養塔
 
2523.脇を抜けよう
集落に入ると道も舗装されていますが、狭い道沿いに古い家屋が並び、旧街道らしい風情が健在です。下り終えると国道を渡りますが、久世、勝山という真庭市の主要な町を通り過ぎたうえ、勝山からここまでの間でまさに主要地方道と言える新見方面への県道32号も分岐しているので、交通量も激減し、ローカル国道という雰囲気に様変わりしています。神代バス停のすぐ北の交差点を左折して県道459号に入ります。

2524.神代の旧街道
 
2525.神代バス停の北を左折
県道459号を歩くのはわずかで、またすぐに平成の道標に従って右折し、神代地区内を北上していきます。神代は新庄川の谷が少し広がりを見せる小盆地になっていて、伝統的な棚田の風景こそ見られませんが、よく整備されよく手入れされた田園風景も美しいです。2527の写真の右カーブの先で国道に戻り、しばらくは国道を歩きます。

2526.神代の田園風景
 
2527.美しい田舎の村です
●神代の四季桜
神代地区の北端には「四季桜」という桜があります。案内板にある後醍醐天皇にまつわる故事はいかにも嘘っぽい「伝承」ですが、年に2度花を咲かせる珍しい種の桜が名所になっているのは紛れもない事実で、特に晩秋には周辺の木の紅葉とのコントラストが見事です。

2528.神代の四季桜
>拡大画像 神代の四季桜の案内板
●龍宮岩と鬼の穴と鬼清水
神代の集落を過ぎたところは石灰岩が露出した地質になっているため、新庄川には奇岩の「龍宮岩」が、また、その東には鍾乳穴の「鬼の穴」があります。石灰岩の奇岩と新庄川の織り成す景観は、出雲街道でも屈指の景勝地と言える場所です。また、龍宮岩から少し下流に行けば、松平不昧公が愛飲したと伝えられる「鬼清水」もあり、少しだけ川の中を歩かなければ辿り着けませんが、美味しい名水です。なお、ここには駐車スペースも設けられており、この辺りでは貴重なトイレも地元自治会により日々きれいに清掃されているため、山間部に入った出雲街道を歩くためにも重要な拠点となります。

2529.龍宮岩

2530.鬼の穴
 
2531.鬼清水
>拡大画像 神代の鬼の穴と龍宮岩の案内板
「地域の皆様とともに」コーナーの「第4回出雲街道を歩こう会」もあわせてご覧ください。
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●地名、人名等の読み方
 ・神代=こうじろ
 ・根雨=ねう
 ・犬挟峠=いぬばさりとうげ
 ・蒜山=ひるぜん
 ・布組=ぬくみ
 ・名草=なぐさ
 ・寺河内=てらごうち

●参考資料
 出雲街道勝山宿の会「出雲街道(1)ガイドブック」
 小谷善守「出雲街道 第2巻 勝山−久世」

●取材日
 2014.11.12
 2015.4.12/9.5/11.16
 2016.10.23
 2017.11.4
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