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2-5-2.萬ノ乢→土居宿→美作土居駅
佐用エリア この区間の地図
<2-5-1.上月駅→萬ノ乢 3-1.美作土居駅→江見→美作江見駅>
●万能峠の峠道(美作側)
美作側の峠道はきれいに草が刈られ、とても歩きやすい状態です。峠近くには田畑もなく、今や史跡散策以外に用途もないと思われるので、草木に埋もれてしまっていても仕方のないような道ですが、ここまできれいな状態が保たれているのは「出雲街道土居宿を後世にのこす会」の皆様方が道の整備を約30年にわたって継続されているおかげで、ただただ感謝するばかりです。

2001.美しい峠道を下る
●梅香塚
土居宿まで下っていく山道の途中、少しだけ南側に土居周辺の俳人達が松尾芭蕉の百回忌を記念して建てたという梅香塚があります。今は誰も通らなくなった峠道にポツンと残された句碑ですが、当時は萬ノ乢の峠道が山陽と山陰を結ぶ華やかな街道だった時代、出雲街道を介した文化的な交流も盛んだったことでしょう。

2002.梅香塚
>拡大画像 梅香塚の案内板
美作側の山道は一貫して美しく整備された状態です。遮断機も警報機もないずい道西口踏切で姫新線を渡ると、細いながらも舗装された道に戻って土居小学校の方へ下っていきますが、道沿いに古い墓石群などがあり、旧街道らしさは続きます。

2003.明るくなると土居宿は近い

2004.ずい道西口踏切

2005.土居小学校へ下る

2006.古い墓石群
>拡大画像 出雲街道を保存するための「お願い」
土居小学校の手前の線路沿いには、幕末にこの地で誤解によりトラブルを起こして亡くなった四人の尊王の志士を祀る四つ塚をはじめ、安東鐵馬の碑などがあります。さらに平成30年(2018年)には「出雲街道土居宿四百年」「姫新線全通八十年」の記念碑も加わりました。佐用からここまでご紹介してきた萬ノ乢経由の出雲街道、そして土居宿は江戸時代初期に整備されたもので、それまでは現在の中国自動車道や県道365号に近い杉坂峠経由のルートが利用されてきました。また、姫新線については兵庫岡山県境の区間(佐用〜美作江見)の開通をもって昭和11年(1936年)に全通しています。県境の鉄道建設に際しては明治末期にまず現在の国道にあたる道路を旧街道や姫新線の北側に建設し、地図を見ても国道ルートより自然な形に見える旧街道ルートを鉄道に譲る形とし、記念碑にも記されているように美作市東部の有力者が私財を投げうった苦労の末の開通だったと言われています。いずれにしても国境の交通の町らしい歴史のエピソードです。

2007.四つ塚

2008.新しい記念碑
>拡大画像 四つ塚の案内板
>拡大画像 出雲街道土居宿四百年 姫新線全通八十年記念碑の案内板
土居小学校の前には出雲街道土居宿跡案内図の大看板があり、そこで県道46号に合流します。土居宿をバイパスする国道をくぐると土居宿東惣門跡で、そこから土居宿の街並みに入っていきます。

2009.国道をくぐれば…

2010.東惣門跡から土居宿へ
>拡大画像 出雲街道土居宿跡案内図
●土居宿
土居宿の道沿いには旧街道時代から残っていると思われる古い建造物はほとんど見られません。しかし、主要な施設の跡地には必ずそのことを示す看板があり、旧街道の時代を想像させてくれます。2011の写真は巡査屯所跡ですが、現在は美作警察署土居駐在所になっていて、建物は新陳代謝していても用途は変わっていないということが読み取れます。そういう視点から古い街並みを見るのも面白いかもしれませんが、それがわかるのも地元有志の皆様方が看板を立てて歴史を遺そうとしてくれているからです。

2011.巡査屯所跡は駐在所

2012.随所にある看板

2013.土居宿の街並み
●土居宿西惣門
街並みの西端には再建された西惣門があります。三日月藩乃井野陣屋と同様、門のみの再建ですが、木造の本物志向のものです。播磨と美作の国境近くに位置する土居宿では、この場所に関所を設置して国境の警備が行われており、このような門を設置していた宿場町は全国的にも珍しいそうです。土居宿は出雲街道の中でもトップクラスの要所であったようで、少なくとも宿駅としての規模は美作国最大級であったと伝えられています。

2014.土居宿西惣門
>拡大画像 西惣門の案内板
西惣門のすぐ近くに美作土居駅があります。兵庫県側では上月、岡山県側では美作江見とそれぞれ隣の駅で折り返してしまう列車があるため、列車本数は近隣の駅よりも少なく、駅設備も近代化からすっかり取り残されてしまっていますが、開業当時からのものと思われる古い駅舎を持ち、駅舎内に多くの写真が展示されているなど、地元の歴史を伝える活動が盛んな古い宿場町に似合うあたたかな雰囲気の駅です。

2015.美作土居駅
<2-5-1.上月駅→萬ノ乢 3-1.美作土居駅→江見→美作江見駅>
  • ●地名、人名等の読み方
    •  松尾芭蕉=まつおばしょう
                 
    • ●参考資料
    •  小谷善守「作州のみち 1 峠・木地師の道」
    •  岡山県文化財保護協会「岡山県歴史の道調査報告書第四集 出雲往来」
          
    • ●取材日
      •  2014.9.2/9.23
      •  2015.10.9
      •  2016.10.9
      •  2018.1.23/6.13
      •  2020.1.31
      •  2021.10.7
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