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10-2.秋鹿町駅→一畑口駅
松江杵築往還エリア [この区間の地図]
<10-1.京橋/南殿町BS→秋鹿町駅 10-3.一畑口駅→雲州平田駅>
秋鹿町駅を過ぎてもしばらくは道沿いに家並みが続きます。この付近は旧秋鹿村の中心地区だった場所で秋鹿村役場および秋鹿公民館跡の石碑も立っています。写真5002の地点では遮断機も警報機もない踏切を渡り、国道に出るまで100m足らずの間ですが、旧街道の雰囲気を残した細道を歩けます。

5101.秋鹿村役場・秋鹿公民館跡

5102.ここで踏切を渡る

5103.旧街道の細道が少し残る
国道を歩くのは100mほどで、写真5104の交差点を右折して岡本2踏切を渡って、また線路の北側に戻ります。なお、この交差点の南側には「道の駅秋鹿なぎさ公園」があり、宍道湖の眺めが良いということに加え、水上レジャーが気軽に楽しめることが特徴となっています。

5104.右折で岡本2踏切を渡る

5105.道の駅秋鹿なぎさ公園
岡本2踏切を渡ると国道の旧道に戻りますが、この付近の旧街道は一畑電車の線路に近い形で緩やかにカーブを描いています。写真5106の交差点を左折して少し南下すると、再び旧街道の細道に入ることができます。

5106.ここは左折してみよう

5107.これが旧街道
国道の旧道に戻ったあたりから旧街道はまた山の方に入っていきますが、この先の旧街道は松江フォーゲルパークの開発により通れなくなっているので、岡本県道踏切を渡って国道に戻り、松江フォーゲルパーク駅の前後は国道を歩きます。旧街道を歩けない部分が多いのは残念に思いますが、現在、実際に歩く道としての松江杵築往還は、宍道湖の眺めが良い国道、地元の暮らしに密着した旧道、そして本来の旧街道の区間がほど良く混在し、その変化が楽しく感じられます。

5108.岡本県道踏切を渡って国道へ

5109.松江フォーゲルパーク駅と地蔵堂

5110.国道も歩道があり景色が良い
写真5111の交差点から大垣県道2踏切を渡って旧道に入ります。ここは旧道らしさをよく感じられる道で、高ノ宮駅を過ぎてもずっと道なりに進んでしまいそうになりますが、その先では踏切も通り抜け可能な旧街道もないため、忘れずに駅の西側の交差点を左折、大垣2踏切を渡って国道に戻るようにしましょう。

5111.ここから旧道へ

5112.旧道らしい旧道

5113.高ノ宮駅

5114.大垣2踏切を渡って国道へ
国道に出て500mほどで写真5115の交差点を右折します。ここから旧街道は二手に分かれて大野越しと呼ばれる山道に入りますが、国道に近い方の道は草木に埋もれているそうなので、迂回コースを選んで北に進みます。途中で西への道もありますが、いずれも無視して北へ進み続けます。山道の入口には大量のゴミがあって道もやや荒れてくるため、行き止まりかと思ってしまいますが、旧街道の道筋はここからも北に続きます。

5115.ここを右折

5116.西への道は無視して北へ直進

5117.行き止まりではありません
●大野越しの山道(迂回コース)
不安を感じるような入口でしたが、そこさえ過ぎると旧街道らしい雰囲気を残した山道となり、小さな峠を越えて大野町地区に入ります。倒木が少しありますが、通行に支障があるほどのものはありません。出雲平野に出るまでの松江杵築往還は小さな山越えがいくつもありますが、そのほとんどにおいてどこかで道が切れるか状態が悪くなっており、ここが松江市内では唯一の問題なく通り抜けられる山道となるため、少々迂回することにはなりますが、ぜひ歩いていただきたい道です。

5118.小さな峠を越える道

5119.少々の倒木も支障なし

5120.墓地が見えると出口は近い
平地に出るとすぐに左折、大野川に沿って南下し、県道266号との交差点を右折して進路を西に戻します。県道は右にカーブしていく写真5122の交差点を正面に進むと、短いながらもローカル駅の駅前通りらしい雰囲気になり、まもなく津ノ森駅に至ります。津ノ森駅は秋鹿町駅と同様、利用者向けの駐車場を備えた全列車停車駅です。

5121.大野川に沿って南下

5122.正面の駅前通りへ

5123.津ノ森駅
津ノ森駅付近から次の伊野灘駅付近までは国道の旧道が旧街道とほぼ一致しています。山に入りがちな旧街道らしく、津ノ森駅を過ぎると緩やかな坂道にかかって、宍道湖の南の山々もよく見えるようになります。松江から20km近く宍道湖沿いを歩いてきましたが、このように少し高い場所から宍道湖の眺めが楽しめる場所は初めてです。

5124.緩やかな坂道を上る

5125.宍道湖の眺めが良い
旧道が終わる下分県道1踏切を渡ると出雲市に入り、国道を300mほど歩いて写真5127の交差点から美野市道2踏切を渡ってまた旧道に入ります。いつものパターンという感じですが、踏切名が県道ではなく市道となっていることから、ここの旧道は踏切が設置された時点で既に県道ではなかったことがわかります。

5126.下分県道1踏切を渡って出雲市に入る

5127.ここから旧道へ
旧道は小さな丘越えとなっていますが、道沿いに多くの民家があります。厳密には旧街道はその家並みの北を通っていたそうです。下っていく途中には力士塚も見られます。

5128.丘陵上にも家並みがある

5129.力士塚が2つ並ぶ
坂道を下って伊野川を渡ると伊野灘駅周辺はちょっとした街並みになります。駅近くにある介護福祉施設は伊野本陣という名前で、江戸時代に建てられた古民家が活用されています。

5130.伊野川を渡ると少しだけ街に

5131.古民家の介護福祉施設
美野市道1踏切を渡って国道に戻りますが、この付近では国道や鉄道も宍道湖からわずかに離れて通っており、旧街道の道筋に近い形となっています。美野市道1踏切の少し西には一里塚もあったと言われており、また、国道沿いに少し壊れた地蔵もあります。

5132.美野市道1踏切を渡って国道へ

5133.立派な国道に壊れた地蔵
宍道湖を見下ろしながら坂道を下っていくと、小境町の集落に入ります。集落の入口で踏切を渡るいつものパターンではなく、ほぼ正面、線路の南側に旧道があります。小境町は一畑薬師への玄関口となる場所で、ここにあった港からかつては汽船が運行されており、現在も国道の一畑薬師入口交差点から一畑薬師の方へ県道23号が分岐します。旧道の交差点はそのすぐ北にあり、旧街道の道筋は右折となります。西への通り抜けができないため、先へ進むには直進となりますが、ここは右折して県道23号に入り、一畑口駅にも立ち寄ってみたいところです。

5134.踏切は渡らず旧道へ

5135.道沿いの地蔵

5136.一畑薬師入口の旧道交差点
県道23号に入ると斜め右への分岐があり、そちらに入るとすぐに地蔵に迎えられ、ついで松江杵築往還が西に曲がる交差点の脇にも石仏が見られます。なお、先述のようにこの道は通り抜けはできません。

5137.斜め左へ

5138.古い道沿いに石仏
●一畑口駅
一畑口駅は平地にあるスイッチバック駅として有名です。スイッチバックとは主に急勾配の途中の駅で列車が進行方向を変える線形のことですが、この駅がスイッチバックになっているのは、かつて一畑薬師の参道入口にあった一畑駅まで線路が伸びていた名残です。一畑電車は文字通り一畑薬師への参詣のための鉄道として建設されたものの、一畑口駅(当時は小境灘駅)から一畑駅までは戦時中の昭和19年(1944)から営業休止になった後に復活することなく廃止されてしまいました。現在では電鉄出雲市から松江しんじ湖温泉までが北松江線という路線名になっていますが、踏切などを見ると社内での運転上あるいは設備管理上の線路名称は一畑口駅を境に電鉄出雲市側が今市線、松江しんじ湖温泉側が松江線となっていると想像できるだけでなく、松江線の0キロポストも一畑口駅の構内にあり、これらのことも一畑駅まで路線があった名残と言えそうです。なお、現在でも一畑口駅からは一畑薬師への平田生活バスが発着し、本数は少ないものの一畑薬師への公共交通機関での玄関口となっています。

5139.北に行き止まりの線路

5140.松江線の0キロポスト

5141.一畑薬師へのバスも発着
>拡大画像 一畑口駅の案内板
<10-1.京橋/南殿町BS→秋鹿町駅 10-3.一畑口駅→雲州平田駅>
  • ●地名、人名等の読み方
    •  美野=よしの
          
  • ●関連ページ
    •  
          
  • ●参考資料
    •  島根県教育委員会「島根県歴史の道調査報告書第十集 松江美保関往還 松江杵築往還 巡見使道」
    •  樹林舎「定本 島根県の歴史街道」
          
  • ●取材日
    •  2020.2.28
    •  2023.10.28
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