今回はいわゆる街道歩きのイベントではありませんでしたが、それでも多くの成果がありました。冒頭に触れた「不安」は杞憂に終わり、觜崎宿についての知識が深められたのはもちろん、道すがら「たつの市ドラゴンウォーカーズ」のメンバーの方にたつの市内の旧街道について色々と教えていただけ、最後には「たつの市ドラゴンウォーカーズ」代表(?)の方ともお話ができました。このイベントは半日で終了なのですが、ここで教わった知識を生かすべく、午後は新宮までもう一足伸ばしてきました。
今回感じた地域のパワーは「連携」です。主催・共催の4団体はそれぞれ違う立場で活動されていますが、この日のイベントではそれぞれの得意分野でイベントに携わっておられるように見えました。例えば、地域のグループだけでは県内/県外、そして老若男女問わず、これだけの人数を動員することはできなかったでしょうし、地元のスポーツクラブやウォーキンググループなしでは、コースにおけるガイドや安全性の確保が十分にできなかったでしょう。地域で志を持って活動している人達の力、それぞれ個別でも力強いものがありますが、その人達が連携して力を結集すれば、さらにすごい力になるということを実感させてくれました。
そして最後に触れておきたいのが姫新線のことです。兵庫県内の姫新線では平成18年度から「輸送改善事業」が行われました。詳しくは「姫新線利用促進・活性化同盟会」の公式サイトで確認できますが、その成果により、少なくとも姫路〜播磨新宮は都市鉄道と比較してもさほど遜色のないレベルになっています。そしてこの3月のダイヤ改正からはICOCAなどの交通系ICカードも播磨高岡〜播磨新宮で利用可能になります。
しかし、これはJRが一方的にしてくれたものではありません。JRはただ「陳情・要望」をするだけでは地方交通線(赤字部門)に投資はしてくれません。兵庫県内の姫新線沿線では、自治体がこの事業の資金を出すだけでなく、このようなイベントを企画するなどして利用促進に努め、また、沿線住民も募金活動で資金の一部を供出し、このようなイベントにも有形無形の協力をされているからこそ、JRという大企業を動かし、鉄道という巨大な社会基盤を変えたと言えるのです。
その結果、地方のローカル線としては珍しく、兵庫県内の姫新線は利用者数を増やしています。この日のイベントの最初にたつの市の企画課長が挨拶の中で「V字回復」という言葉を口にされました。姫新線利用促進・活性化同盟会では(年間の利用者数について)「チャレンジ300万人」を合言葉にしていますが、一時は「210万人」まで落ち込んでいたものが、沿線人口の減少という難局を迎える中で「300万人」に手が届きそうなところまで増加しているそうです。今年(2016年)は姫新線全通80周年という記念すべき年です。歴史の中で出雲街道の半分を引き継いだ姫新線が「300万人」を達成できるよう、私も姫新線を利用するとともに、姫新線を利用して実際に出雲街道を歩く人が増えるようなサイト作りを心がけ、微力ながら地域の力になりたいと思いました。
平成27年度、兵庫県内の姫新線は「300万人」を達成しました!おめでとうございます!
そして今後もそれを維持し、ますます発展していけるよう、お祈り申し上げます。 |