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8.林野・湯郷(美作市)
美作国において古くから町が発展した場所と言えば、吉井川や旭川と主要な支流との合流点で、河川交通の拠点となっていた場所がほとんどです。津山もそうですし、勝山もそう。真庭市の落合に至っては地名がそのことをそのまま示しています。そして、美作市でその条件に該当するのが林野です。

林野では吉井川の最大の支流である吉野川に対し、梶並川が合流します。その直前には滝川も梶並川に合流しているため、現在の美作市および勝央町、奈義町のほぼ全域の物資が集まる場所であると言えます。川沿いには白壁の土蔵が立ち並び、江戸時代には「倉敷」という地名になりました。近代になると同じ岡山県に2つの倉敷があることが問題となり、美作国の倉敷は「林野」という中世以前の地名に戻ったそうですが、逆に言えば、林野はあの倉敷市との地名の重複が問題となるくらい繁栄していたとも言えるエピソードです。

現在ではその繁栄は失われてしまっていますが、2つの川に挟まれた狭い平地に密集した市街があり、北の山には林野城跡があります。経済的に考えても軍事的に考えても、美作国の東部の拠点はここだと確信するような場所で、距離を優先した昔の出雲街道や現在の中国自動車道はスルーしても、近代の国道179号がわざわざ立ち寄る形になっているのも当然だと感じます。

一方、吉野川の右岸には湯郷温泉があります。ここは美作三湯の一つに数えられる歴史ある温泉で、私などがご紹介するまでもない場所ですが、出雲街道歩きの中で徒歩でも立ち寄れる数少ない温泉です。一時期はいかにも「団体旅行向けの温泉地」という雰囲気でしたが、近年では道路も整備されて温泉街の散策が楽しめるようになるとともに、「現代玩具博物館・オルゴール夢館」や「てつどう模型館&レトロおもちゃ館」など親子連れで楽しめる施設も増え、新たなまちづくりにより、雰囲気が大きく変わりつつあります。

吉野川と梶並川が合流

市街に残る蔵

旧中国銀行林野支店

湯郷温泉街

現代玩具博物館・オルゴール夢館
令和元年(2019年)8月18日 Facebookページに掲載
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