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第5回 出雲街道を歩こう会(平成27年11月5日)
平成27年4月に参加して、私の街道歩きを変えてくれた「出雲街道勝山宿の会」主催の「出雲街道を歩こう会」ですが、第5回は真庭市旧久世町東部において、目木から久世市街まで脇街道を行き、表街道で戻るというコースです。市街地にも近い地味な区間ですが、どちらとも現在の国道と比べて迂回していて、このような機会でもなければ正確に道筋を辿ることは困難な区間です。(本編では「15.目木から久世へ」とほぼ一致しています)。
当日は久世インターにも近い「真庭産業団地」(南区域)に集合します。会長による説明の後、まずは中原地区を通り抜けて、北にある国道に向かっていきます。

7201.真庭産業団地(南区域)に集合

7202.国道へ向けて出発

7203.高清水
国道に出ると左折して目木地区に入っていく予定になっていましたが、ここで地元の方が出てきてくれ、「高清水」でお茶を用意してくれているとの情報が入ってきて、わずかな寄り道をして「高清水」に向かいます。「高清水」は自然豊かな真庭地域の中でも三名水の一つに数えられる名水ですが、この日までの私にとっては見逃してしまっていた名所の一つです。誰に頼まれるでもなくこのようにもてなしてくれたご厚意は、とてもうれしい「サプライズ」でした。

7204.ここを入ればよかったのです

7205.みんなでお茶タイム
予定のコースに戻り、中原バス停の先で右斜め前の旧道に入り、目木川の手前でまた右折して米来神社に立ち寄ります。7207の写真の地点が表街道と脇街道の分岐点となり、表街道はここで左折して目木川左岸を下っていくことになります。また、米来神社は中世からの記録が残る由緒ある神社です。

7206.中原バス停の先で斜め右へ

7207.本街道と脇街道の分岐点

7208.米来神社
かつての脇街道は米来神社の鳥居付近から後述する庄屋屋敷の方へ橋が架かっていたそうですが、現在は7207の写真の地点まで戻らなければなりません。目木川を渡れば、目木地区の中央に位置する交差点を右折し、さらに米来小学校の北東の交差点を右折して、庄屋屋敷に向かいます。

7209.昔はここに橋がありました

7210.目木川を渡る

7211.ここを右折

7213.庄屋屋敷
目木の庄屋屋敷は、ムクの大木があり、門の構え、周囲にめぐらされた堀、大きな蔵、庭園など、まさに大庄屋であったことが想像できる屋敷で、「目木構」とも呼ばれています。現在は現役の民家でなく、隣接する「真庭市老人ホーム「ささぶき苑」のコミュニティルームとして活用されています。傷んでしまっているところも見られますが、修復し整備すればちょっとした観光名所にできそうなほどの屋敷です。

7213.門

7214.母屋は老人福祉施設に活用

7215.庭園
>拡大画像 目木構の案内板
庄屋屋敷でUターンして、西を目指します。脇街道は平地の北端の山沿いを行くという出雲街道らしい道です。この辺りでは集合住宅や自動車教習所があるなど、都市郊外らしい場所ですが、それでも7217の写真の大乗妙典供養塔や7218の写真の道標など旧街道らしい史跡が残っています。なお、この道標は国道沿いにある薬王寺を案内するもので、薬王寺が左、脇街道は右です。

7216.田園地帯を行く

7217.大乗妙典供養塔

7218.薬王寺の道標
台金屋地区の丘陵地を西進し、大宮団地という住宅地の南側を通って、久世市街へと下っていきます。そして県道65号と姫新線にぶつかるところで踏切を渡り、すぐに右折すると、旧遷喬尋常小学校の北側に出てきます。

7219.大宮団地から久世市街へ

7220.姫新線を渡る

7221.北側から旧遷喬尋常小学校へ

7222.ぼっこう祭
この日の旧遷喬尋常小学校では真庭市内でも大規模な祭りと言える「作州くせ ぼっこう祭」が開催されていて、この「出雲街道を歩こう会」もそれに合わせた日程となっています。かつての運動場にはテントが並んでいて、地域の祭らしい露店も並び、地元の自治会や企業による名産品の販売が行われています。ここでしばらく時間が取られ、その雰囲気を楽しみます。

7223.懐かしの学校給食
昼食は「懐かしの学校給食」です。旧遷喬尋常小学校の活用のために休日に開催されるイベントで、国の重要文化財に指定された学校の本物の教室の中で、和気あいあいとした雰囲気で昼食を楽しみます。運営されているのは「まにワッショイ」という現役世代の皆様で構成されるまちづくりグループ、調理をされているのは元給食婦の皆様です。なお、「懐かしの学校給食」は、予約をすればこのようなイベントの団体ではなく個人であっても参加できます。

7224.給食当番は「まにワッショイ」の皆様

7225.講堂
昼食を終えて街道歩きを再開し、「華蔵庵の松」がある天神橋で脇街道は終点となり、左折して表街道に入ります。この地点は久世宿の中心というだけでなく、岡山と大山寺を結ぶ「大山みち」と出雲街道が交差する場所でもあったそうです。すぐ脇には先述の「まにワッショイ」の活動拠点の一つである「古民館」もあります。

7226.華蔵庵の松と天神橋

7227.まにワッショイ古民館
表街道は天神橋からすぐ東の斜め右への分岐を入り、真庭市役所の裏側を通って南東へ向かいます。ここから先では基本的には田園風景に戻りますが、道沿いには集落が続いて民家が多く、写真のような史跡もあって旧街道らしい雰囲気です。余談ですが、7232の写真の史跡に立ち寄るため道を曲がると、沿道の家のかなり年老いたおばあさんが「そっちは違うでー!」と大きな声で繰り返し呼び掛けてきました。もちろんそんなことはわかっているのですが、そんなところからも地域のお年寄りが旧街道の道筋をちゃんと覚えていること、そして他所から来た人への善意を感じることができました。

7228.市役所の裏の細道を抜ける

7229.下原の常夜燈・地神・塞の神

7230.土居の千手観音堂

7231.県道329号へ

7232.中島の常夜燈・地神・供養塔
旧落合町に入って目木川を渡り、大庭バス停の分岐を左折します。道はまだまだ南東に向かっていて、姫新線の踏切を挟む形になっている交差点を左折し、北東の目木へ向かう形になります。

7233.目木川を渡る

7234.大庭バス停を左へ

7235.踏切の横には牛馬繁栄塚

7236.大庭の首なし地蔵
大庭地区の旧街道沿いの集落に入る直前に「首なし地蔵」があります。一般的な旧街道沿いの地蔵に比べて大きな地蔵が広い田んぼの中に立っているので、とても目立っています。なお、ここの地蔵に首がないのには特に理由はなく単純に外れてしまったのだそうです。

7237.移設された大庭の道標
大庭集落の集会所で休憩となり、甘酒をいただきます。ここには道標がありますが、方角が全く合っておらず、移設されていることがわかります。背後の山は中世の山城の「笹向城跡」で、この辺りはその城下町としての役割も果たしていました。そして地元の皆様の取り組みとして、要所要所に標柱が立てて、その歴史を残してくださっており、旧街道沿いの拠点として繁栄していたことが想像できるようになっています。

7238.集会所で休憩

7239.旧妙蓮寺跡
>拡大画像 「城下町」大庭の里の案内板
大庭地区を出ると旧久世町に戻り、7240の写真の分岐を左折して目木川左岸の堤防に上がると今回のコースの最後の史跡である五輪塔と地神があります。このまま堤防の道を行けば、もうすぐ7207の写真の目木橋ですが、今回のコースとしては真庭産業団地に近い地点で右折してスタート地点に戻ります。

7240.左の目木川堤防へ

7241.五輪塔と地神

7242.産業団地に戻る
「第5回出雲街道を歩こう会」では一見地味なコースですが、地味な場所だからこそわからなかった旧街道の道筋を詳しく知ることができ、大庭地区のように、これまで訪れていなかった場所の歴史を初めて知ることができました。また再訪して本編もこの成果を活かしたものにしていきたいと思います。
そして今回も、すばらしい人との出会いがありました。「懐かしの学校給食」を運営されている「まにワッショイ」の皆様は、普段は地元で普通に仕事をされている若い人達です。そのメンバーや活動を紹介する小冊子から一部を引用させていただきます。「地域の魅力の根っこは、その土地に暮らす『人』にあると私たちは考えています」「真庭市久世地域は、かつては出雲街道の宿場町として栄えた地域ですが、有名な観光地や大きな商業施設など人目を引くようなものはありません。しかし旅行ガイドには決してのっていない、小さくとも大切な何かをこの冊子から感じていただくことができると思います」(代表のごあいさつより)、「自らが観光資源になろう」(「まにワッショイ活動五箇条」のうちの一項目)。これには全く共感させられました。
最後に、「出雲街道勝山宿の会」の会長は今年で80歳になられたそうです。様々な準備をしたうえで約10kmの道のりをガイドする立場で歩かれているので、平均的な80歳よりはるかに元気なのですが、それでも「いつまでできるかわからない」ともおっしゃっていました。地域を支えてきた人達が高齢化していく中、ただこのようなイベントに参加して「楽しかった」「勉強になった」というだけでなく、地域固有の歴史や文化を後世に引き継いでいくために、私達のような下の世代に何ができるか考えていかなければならないと考えさせられました。

この「出雲街道を歩こう会」は、あと2回です。後ほど正式に決まり次第、真庭市の公式サイトにも掲載されることになると思われますが、次回は平成28年4月10日(日)4月3日(日)に旧美甘村の「田口→美甘」を歩く予定とのことです。新庄川(美甘渓谷)の景色がとても美しい区間ですので、ぜひご参加ください。
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