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第4回大山みちを歩こう会(平成30年4月22日)
半年ごとに開催され、毎回参加させていただいている「出雲街道勝山宿の会」の「大山みちを歩こう会」、第4回は真庭市旧落合町の開田から久世までです。前回に引き続き今回も真庭市の平野部を歩く地味めのコースですが、当サイトの「だいせんみちを歩こう」では今のところ取り上げていない区間であり、こういうところこそ今まで知らなかった名所に出会ったりすることもあるのが楽しみです。
当日は真庭市役所に集合、前回は台風が接近していたためキャンセルが多く、参加者が少なめでしたが、今回は快晴で参加者数も50名以上という賑やかさが戻りました。会長の挨拶からバスでのスタート地点への移動といういつもの流れの中でも、参加者の表情に心なしか明るさを感じます。

8201.真庭市役所に集合

8202.ちょうど大型バス1台の参加者数
スタート地点は前回と同じ旧落合町の開田。前回は道標のある交差点から南の落合方面へ歩きましたが、今回は北の久世方面に歩きます。大師堂などを見ながら最初は国道313号を歩きます。

8203.前回は道標から南でした

8204.今回は国道を北へ
国道313号を歩いているとは言え、この付近の沿道にあるほとんどの史跡は西の山沿いにあります。8206の写真の地蔵の付近には細い山道があり、通り抜けられる状態ではないようですが、このように国道より一段高い場所を通っていたのが本来の古道の道筋だと考えられます。

8205.史跡は西の山沿いに

8206.地蔵堂

8207.古道と思われる山道
開田のスタート地点から北へ400mほど、西にある山は宮山城跡という山城の跡です。ちょうど旭川の対岸には笹向城跡があり、落合と久世の間で2つの城が連携し、地域の守りの要となっていたことが想像できます。

8208.宮山城跡
>拡大画像 宮山城跡の案内板
8209の写真の地点で左折し、国道313号から少しずつ離れながら美作国の平野部らしい田園風景を進んでいきます。新緑や道端の草花も晴天に映え、とても気持ちの良いウォーキングです。参加者の中からも「やっぱりこういう道がいいね」との声も聞こえてきて、まったく同感です。

8209.ここを左折

8210.山沿いの田舎道へ
国道313号を離れて約500mほどで地神と読み取るのも難しいほど小さな道標があります。落合から久世にかけての平野部の大山道は目立った史跡は少ないですが、このような石造物は点在していて、古道を歩いていることを実感させてくれます。なお、ここの西の丘の中腹には十一面観音堂があり、立ち寄りを希望された参加者の方々とともに寄道をしました。先頭集団からは遅れてしまいますが、この後の天津神社で追いつけるので慌てず追いかけます。

8211.地神と道標

8212.十一面観音堂
次に立ち寄る天津神社はこの近辺では比較的規模も大きく、江戸時代にも津山や勝山の殿様にも崇敬されていたという由緒ある神社で、ここでは昇殿させていただき、宮司さんによるガイドを受けます。前回の垂水神社や勇山寺でもそうでしたが、寺社の由緒やお参りの作法という定番のガイドだけでなく、地元の寺社が現在どのように守られているかというような当事者のお話もお聞きできたのが興味深いところでした。

8213.天津神社
西の山を越えて旧勝山町の月田地区へショートカットする県道390号を横断するあたりからはかなり道が細くなるところもありますが、それでも8216の写真の大日如来や地神、小祠などが見られます。天津小学校の東側ではわずかながら地道を歩く場所もあります。平野部においても大規模な圃場整備が行われた場所以外では古道の道筋が活かされていることを実感するとともに、それが古道の道筋であることを地元の人達に記憶されていることにも感謝の気持ちを新たにします。

8214.県道390号を横断

8215.道が細くなる

8216.大日如来・地神・小祠

8217.天津小学校付近では地道に
天津小学校の先で右折して自動車の走る舗装道路に戻ります。前回の開田から落合市街までと同様、水路沿いの道で、中地区の北端近くには釈迦堂と念仏供養塔があります。この念仏供養塔が立てられたのは天明5年(1785年)ですが、真庭市内の大山道に残る天明年間の史跡としては旧湯原町藤森の地蔵や旧川上村の野中地蔵や鳩ヶ原の道標もあり、この時期に大山道の整備が進み、往来が盛んになったことがわかります。

8218.釈迦堂

8219.天明5年の念仏供養塔
次いで総社宮の前を通過し、十一面観音堂のときと同じく希望者のみが立ち寄ります。ここでいったん大山道の道筋を離れ、国道沿いにある昼食休憩場所の「真庭あぐりガーデン」に向かいます。

8220.総社宮

8221.笹向山を見ながら国道へ
「真庭あぐりガーデン」では一室が用意され、名物の「まにわっぱ弁当」をいただきます。非常に多種のおかずが詰められた健康志向の弁当というだけでなく、何と写真中央のカレイ以外の材料はすべて真庭市産とのことで、一緒に出されたお茶も旧勝山町西部の富原地区の特産品である「富原茶」でした。そして、真庭市産は食材だけではなく、米は前回落合総合センターで見たバイオ肥料の「液肥」を使用して育てられたものだそうです。まさに100%の地産地消に極限にまで近づけた真庭づくしの昼食で、真庭市の資源の循環を実感し、空腹だけでなく心まで満たされました。

8222.昼食のまにわっぱ弁当

8223.真庭あぐりガーデン

8224.真庭の循環社会造りの為に!
「真庭あぐりガーデン」を出ると、ほんの100mほどだけ国道313号を北上しますが、その間には「岡山元標十七里」の里程標があります。岡山県北部には津山を基点とした「津山元標」が多くありますが、「岡山元標」も少数ながら残されています。大山道の道筋を外れた場所に里程標があるのは意外に感じますが、ここの岡山元標は出雲街道で多く見かける津山元標よりやや新しい明治18年(1885年)のもので、この年は落合と久世の間で現在の国道313号にあたる直線的な道路が開通した年です。

8225.岡山元標十七里

8226.ここで左折
昼食休憩の後、出発していく人数を数え、取り残された参加者がいないかを確認してから出発したため、かなり後ろから集団を追いかけていくことになりますが、ご自身の意思で後から出発されることを確認した2人だけでなく、もう2人がさらに後ろにいることに気づき、しばらくはその4人にペースを合わせてかなり後ろを歩いていくことにします。会のメンバーのうち1人が急用で帰られたため、午後は私が「出雲街道勝山宿の会」の幟を持ちましたが、偶然にもそれが役に立つことになりました。ともあれ、第2回のときの失敗を繰り返さずに済み、一安心です。

8227.田園地帯を抜けて古道に戻る

8228.遅れましたが大丈夫!
古道の道筋に戻って富尾地区を700mほど歩き、惣地区でいったん国道313号に戻れば、久世市街はもうすぐ近くに見えていますが、またすぐに8229の写真の地点から山沿いかつ水路沿いの道に入ります。太い水路が周辺の田畑よりも高い位置を通っていることからも古道そのものではありませんが、ここもこうしたウォーキングに適した雰囲気の良い道です。水路改良事業の竣工記念碑のあたりからは久世の新しい市街に入り、国道沿いに並ぶ郊外型店舗の裏側を進んでいきます。

8229.また山沿いの道へ

8230.水路が目立ちます

8231.水路改良事業竣工記念碑

8232.国道沿いの店舗の裏側を行く
国道にぶつかる直前には多数の石造物群があり、ここで先頭集団に追いつきます。ここには真庭地域では定番の地神のほか、木山宮や金毘羅宮を指す道標、そして牛馬の道の要衝で大規模な牛馬市も開かれていた町にふさわしく、牛馬供養塚もあります。大山道の道筋は東南から後述する中川橋に至る旧国道と思っていた私にとっては、古道らしい雰囲気が皆無なこの場所にこのような石造物群があるというのは今回一番の驚きでした。

8233.惣地区の石造物群
開田を出てから初めて国道313号を横断し、南西から中川橋を目指していきます。左折すれば中川橋に至るという地点ではあえて右折して、近くの木工所の前で恒例の甘酒休憩となります。景色が良いわけでもなく、別に何もない場所ですが、今回のコースは天津神社、真庭あぐりガーデン、そして中川橋近くのこの場所とほぼちょうど4分の1ずつの良いタイミングで休憩ができます。

8234.初めて国道313号を横断
 
8235.いつもの甘酒休憩
休憩を終えると中川橋で旭川を渡り、古くからの久世市街に入っていきます。現在では国道313号のルートを西の久世大橋に譲り、東にも北岸の真庭市役所と南岸のショッピングセンター等の集まる地区を結ぶいずみ橋も架けられているため、久世の南北交通の主役の座からは下りていますが、この中川橋が久世の旭川では最も古い橋です。北岸に出ればまもなく出雲街道にぶつかって左折しますが、その交差点には先代の中川橋の親柱も置かれています。

8236.中川橋

8237.左折で出雲街道へ

8238.中川橋の親柱
出雲街道と100mほどだけ重複し、アーケードの商店街に入る直前を右折します。当サイトの「出雲街道の道のり」「だいせんみちを歩こう」でも既にご紹介している通り、この付近が久世宿の中心です。旧出雲街道から国道181号の間には金刀比羅宮もあります。

8239.アーケードの手前で右折

8240.金刀比羅宮

8241.国道181号を横断
国道181号を渡っても今回のイベントはもう少し続き、大山道沿いに続く市街を北上していきます。姫新線の倉吉踏切を渡った直後、西の民家の敷地内には「おた起へ三十丁」(約3.3km)という道標が立っています。「おた起」とはこの場所のすぐ東にある興善寺の奥の院のことで、「お滝様」として地元で親しまれている場所です。私はこの道を一度歩いていますが、道標は完全に見逃しており、そもそも「お滝様」自体もこの日まで知らなかったため、まだまだ勉強不足だと感じさせられます。

8242.「おた起道標」
さらに150mほど北にもう一つ道標があります。私が以前歩いたときに「左 まがみち」というのは読めていたのですが、右がどこを指しているのかは読み取れていませんでした。この日は大人数が参加されているだけあり、参加者のうち一人が「ゆばら」であると読み取り、私に教えてくださいました。

8243.「真賀湯原道標」
「お滝様」への道が分岐する地点を過ぎれば、久世の市街は終わり、ラストコースは田園風景に戻り、県道65号と合流する地点まで歩きます。第1回の「大山みちを歩こう会」において距離が長くなりすぎるため省略することにした区間だそうで、その時にも参加された方にとってはこれで美作国の南端近くから旧湯原町まで歩いた道がつながったことになります。最後は県道65号を1kmほど南下して真庭市役所に戻ります。

8244.お滝様への道の分岐点

8245.田園風景に戻る

8246.県道65号の交差点

8247.真庭市役所に到着
今回の「大山みちを歩こう会」は前回とは打って変わって好天に恵まれ、4月としては暑いくらいの天候でしたが、良い汗をかいて気持ちの良いウォーキングでした。感心したのはコース設計がとてもよくできていたことで、大人数で歩くのに適した距離というだけでなく、休憩のタイミングもバランスが良いし、「真庭あぐりガーデン」に立ち寄ることで変化もあり、そこには「岡山元標」もあるという参加者を飽きさせないコースになっていました。私にとってもコース自体にも勉強になる部分がたくさんあるとともに、「真庭あぐりガーデン」で真庭らしい新しい社会づくりへの挑戦に触れることもでき、たいへん興味深いコースでした。

そして、Facebookページの方では既にご紹介させていただいていますが、「出雲街道勝山宿の会」ではFacebookページを開設されたり、YouTubeに「大山みちを歩こう会」の動画を公開するなど、その活動も新たな展開を見せ始めています。また、当サイトと合わせてぜひご覧いただき、その活動を応援していただければと思います。

私個人としても昼食後の参加者のチェックを自主的に行ったり、会の幟を持ったりして、当日のイベント運営のお役に立てる部分も出てきました。平成27年(2015年)4月の「第4回出雲街道を歩こう会」で初めて「出雲街道勝山宿の会」の皆様に出会ってから3年、「地域の皆様とともに」の精神を少し具体的な形にすることができました。また、出雲街道歩きと「出雲街道の道のり」コーナーの作成が一段落したので、当サイトの運営も単に出雲街道や大山道の沿線をご紹介するだけでなく、今回のコースのように誰もが実際に歩きやすいコース設計を考えていくなど、次のステップに移っていくことを考えていきたいと思いました。

次回の「大山みちを歩こう会」は平成30年(2018年)10月14日に旧湯原町の二川から土居まで歩く予定となっています。これからいよいよ大山道らしい山間部のコースとなりますので、ぜひご参加ください。
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